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上野・浅草橋・蔵前のBtoBサービスM&A|内装施工・イベント支援・工房型事業の会社売却実務

2026 9/07
コラム
2026年7月11日2026年9月7日
上野・浅草橋・蔵前周辺のBtoBサービスM&Aで事業承継資料を確認するイメージ

掲載画像は、施工やイベント関連の仕事と相談風景を組み合わせたイメージです。実際の相談者・取引現場や当センターの成約実績を示すものではありません。

上野、御徒町、湯島、上野広小路、浅草橋、蔵前周辺で、内装施工、イベント支援、工房型サービス、法人向け業務を営む中小企業が、会社売却や事業承継を検討する際の論点を解説します。

この記事の要点
  • 継続契約の売上と、担当者への依存を分けて確認する。
  • 顧客接点・受注・請求の流れを引き継ぎ資料にする。
  • 情報開示と従業員・顧客への説明を段階ごとに整理する。
目次を開く
  1. 1. BtoBサービス型企業の価値は「案件発生の仕組み」にある
  2. 2. 代表者依存を分解し、買い手に引継ぎ可能性を示す
  3. 3. 見積り・原価・外注費は買い手が最も確認したい部分
  4. 4. 協力会社・職人ネットワークは契約と関係性の両面で確認する
  5. 5. 顧客契約と個別案件の引継ぎは分けて考える
  6. 6. 図面、仕様書、写真、履歴は「事業の記憶」として評価される
  7. 7. 設備・工具・車両・作業場は「所有者」と「使用実態」を確認する
  8. 8. 従業員・パート・家族の暗黙知を形式知に変える
  9. 9. 秘密保持とネームクリアは地域密着型M&Aほど重要になる
  10. 10. 株式譲渡と事業譲渡で承継の手間は大きく異なる
  11. 11. 売り手企業様の手数料0円を活用して、早めに論点を洗い出す
  12. 12. 買い手候補は「価格」だけでなく承継力で選ぶ
  13. 13. 公開前に整えるべき資料と、開示の順番
  14. 14. 最初の30日で行うべき実務整理
  15. 15. まとめ:地域の現場力を次の担い手へ残すために
  16. 16. 運転資金と入金サイトを買い手に説明できるようにする
  17. 17. PMIは成約後ではなく、候補先選定の段階から考える
  18. 18. 地域別に見る承継時の注意点
  19. 19. 相談前チェックリスト

上野・御徒町・湯島・上野広小路・浅草橋・蔵前の周辺には、一般消費者向けの店舗や観光関連事業だけでなく、法人向けに支える中小企業が数多くあります。たとえば、店舗やオフィスの内装施工、展示会や催事の設営、印刷物・什器・販促物の制作、撮影や配信の補助、工房での小ロット加工、修理、検品、梱包、配送手配、業務用資材の手配などです。表通りからは見えにくい仕事であっても、地域の飲食店、ホテル、専門店、EC事業者、メーカー、学校、制作会社、士業、医療・福祉施設を支える重要な商流になっています。

こうしたBtoBサービス型の中小企業がM&Aや会社売却を検討する場合、売上や利益だけで価値を説明することはできません。買い手が重視するのは、案件がどこから来るのか、見積りは誰が作るのか、現場を誰が回すのか、協力会社との関係が続くのか、図面・仕様・過去の施工履歴・顧客担当者情報が整理されているのか、代表者が退任しても品質と納期を守れるのかという点です。浅草橋や蔵前のように、ものづくり、雑貨、デザイン、物流、店舗運営が近接する地域では、紹介と再発注の連鎖が企業価値の中心になります。

本稿では、上野・台東区周辺で法人向けサービス、内装・施工、イベント支援、工房型事業を営む会社が、会社売却や事業承継を考えるときに整理すべき論点を実務目線で解説します。個別の法務、税務、会計、労務、許認可、不動産契約については会社ごとに前提が異なるため、最終判断は弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、社会保険労務士等の専門家確認を前提にしてください。

なお、ここでいう会社売却は、廃業を避けるためだけの選択肢ではありません。取引先に迷惑をかけず、従業員の経験を残し、地域で積み上げた信用を次の担い手に渡すための前向きな承継手段として検討できます。

目次

1. BtoBサービス型企業の価値は「案件発生の仕組み」にある

法人向けサービスのM&Aでは、設備や在庫よりも、案件が継続的に発生する仕組みが重視されます。上野広小路や湯島の飲食店・事務所から定期的に改装や修繕の相談が来る、浅草橋の制作会社から展示会什器や販促物の相談が入る、蔵前のブランドや工房から小ロット加工や梱包支援を依頼される、といった流れは、決算書の数字だけでは見えません。買い手は、その受注経路が代表者個人の人脈だけなのか、会社として再現できる営業資産なのかを確認します。

準備段階では、過去三年程度の案件を、紹介、既存顧客、Web問い合わせ、地域つながり、協力会社経由、元請け・下請け、定期契約、スポット案件に分けて整理すると効果的です。売上先名を初期段階から開示する必要はありませんが、売上構成、継続年数、再発注率、粗利、案件単価、繁忙期、失注理由を匿名化して説明できると、買い手は事業の安定性を判断しやすくなります。

特に上野・御徒町周辺では、近隣の紹介や即応力が強みになります。急な修繕、営業時間外の作業、限られたスペースでの搬入、駅周辺の人流を避けた施工、イベント前日の調整など、地域を理解しているからこそ対応できる仕事があります。この「地域対応力」は、売却資料の中で具体的な案件類型として表現することが大切です。

2. 代表者依存を分解し、買い手に引継ぎ可能性を示す

小規模なBtoBサービス会社では、代表者が営業、見積り、現場確認、協力会社手配、請求、クレーム対応まで担っていることがあります。この状態でも会社売却が不可能というわけではありませんが、買い手は「代表者が抜けた後に売上が残るか」を慎重に見ます。そのため、代表者依存を一つの大きな問題として語るのではなく、業務ごとに分解して承継可能性を示す必要があります。

たとえば、営業は代表者が担っているが、見積りの単価表や過去案件の積算資料がある。現場判断は代表者が担っているが、協力会社ごとの得意領域や連絡先が整理されている。クレーム対応は代表者が担っているが、よくあるトラブルと対応履歴が残っている。このように分解できれば、買い手は引継ぎ期間、採用、既存社員の登用、買い手側管理者の投入を検討できます。

上野M&A総合センターでは、譲渡企業様から着手金・中間金・成功報酬を含めて手数料をいただかない方針のもと、こうした引継ぎ論点の整理も支援します。費用負担を理由に相談を後回しにするより、早い段階で代表者依存の棚卸しを行うほうが、候補先との対話で不安を減らしやすくなります。

3. 見積り・原価・外注費は買い手が最も確認したい部分

内装施工、イベント支援、工房型サービスでは、売上高だけでなく案件ごとの粗利が重要です。売上は大きく見えても、外注費、材料費、夜間対応費、再作業、交通費、保管費、廃材処分費がかかり、実際の利益が薄い案件もあります。逆に、単価は小さくても、定型化されていて粗利が安定する案件もあります。買い手は、どの仕事が利益を生み、どの仕事が代表者の無理で成り立っているのかを知りたいと考えます。

準備としては、主要案件について、見積金額、原価、外注費、社内工数、納期、粗利、再発注有無を整理します。完璧な工数管理がない場合でも、代表的な案件パターンを十件程度選び、受注から納品までの流れと採算を説明できるようにすると効果があります。浅草橋の資材調達、蔵前の小ロット加工、上野周辺店舗の夜間施工など、地域特有の制約も原価に影響するため、買い手に隠さず伝えることが信頼につながります。

価格改定の余地も重要です。長年の付き合いで単価を据え置いている顧客、材料費高騰を転嫁できていない案件、納期短縮に追加費用を設定していない案件があれば、買い手にとって改善余地になる場合があります。ただし、顧客関係を損なわない価格改定が可能かどうかは、取引経緯や契約内容により異なります。

4. 協力会社・職人ネットワークは契約と関係性の両面で確認する

BtoBサービス型の会社では、外部の協力会社や職人との関係が事業継続の鍵になります。内装、電気、設備、サイン、印刷、配送、撮影、設営、加工、検品などを外部に依頼している場合、そのネットワークが買い手に引き継げるかどうかが重要です。台東区周辺は狭いエリアに多様な事業者が集まっているため、顔の見える関係が強みになる一方、代表者個人の信用に依存していることもあります。

まず整理すべきは、協力会社ごとの得意領域、依頼頻度、年間支払額、支払条件、繁忙期対応、代替先の有無です。契約書がある場合は、譲渡や再委託、秘密保持、損害賠償、知的財産、支払条件を確認します。契約書がない場合でも、過去の発注書、請求書、メール、チャット履歴を整理しておくと、買い手が関係性を把握しやすくなります。

協力会社への説明時期は慎重に決める必要があります。早すぎる説明は情報漏えいにつながり、遅すぎる説明は承継後の協力を得にくくする可能性があります。秘密保持を前提に、候補先との基本合意後、または最終契約に近い段階で、どの協力会社にどの順番で説明するかを計画します。

5. 顧客契約と個別案件の引継ぎは分けて考える

法人向けサービスでは、顧客との契約が一つであっても、実際には個別案件ごとに条件が異なることがあります。年間保守契約、都度見積り、業務委託契約、秘密保持契約、代理店契約、取引基本契約、口頭合意が混在している会社も少なくありません。M&Aでは、顧客との関係が続くかだけでなく、契約上の承諾や通知が必要かを確認する必要があります。

株式譲渡であれば契約主体は同じ会社のままですが、代表者変更や支配権変更について通知・承諾が求められる契約もあります。事業譲渡であれば、契約の移転に顧客承諾が必要になることが一般的です。個別の契約判断は法務論点になるため、弁護士等の確認を前提に進めるべきです。

上野・浅草橋・蔵前周辺では、長年の法人顧客が「いつもの会社だから任せている」というケースがあります。その信用を守るには、買い手が顧客に何を約束できるか、代表者がどれくらい引継ぎに関与するか、既存担当者が残るか、品質基準をどう維持するかを事前に設計することが大切です。

6. 図面、仕様書、写真、履歴は「事業の記憶」として評価される

内装施工や工房型サービスでは、過去の案件資料が大きな価値になります。図面、仕様書、写真、材料リスト、色番、サイズ、搬入経路、顧客担当者、クレーム履歴、再発注時の注意点が残っていれば、買い手は承継後の対応をイメージしやすくなります。逆に、資料が代表者の記憶だけに依存していると、買い手はリスクを大きく見ます。

準備段階では、過去案件を顧客別、業種別、場所別、案件種別に整理します。上野駅周辺の飲食店改装、御徒町周辺の小売什器、湯島・上野広小路のオフィス修繕、浅草橋の展示・資材関連、蔵前のブランド店舗や工房支援など、地域ごとの案件類型を示せると、買い手に強みが伝わります。

ただし、図面や写真には顧客情報、店舗レイアウト、個人情報、秘密情報が含まれることがあります。候補先に開示する前には、秘密保持契約を締結し、必要に応じて顧客名や住所を伏せるなど、情報管理を徹底する必要があります。ネームクリア前に固有名詞を出しすぎないことが重要です。

7. 設備・工具・車両・作業場は「所有者」と「使用実態」を確認する

工房型事業や施工支援会社では、工具、機械、車両、倉庫、作業場、保管棚、専用ソフト、計測機器、撮影機材などが事業に欠かせません。これらが会社所有なのか、代表者個人所有なのか、リースなのか、親族名義なのかによって、M&A時の扱いが変わります。買い手は、承継後も同じ設備を使えるか、追加投資が必要かを確認します。

リスト化するときは、名称、取得時期、取得価額、現在の状態、保管場所、所有者、リース・ローンの有無、メンテナンス履歴、代替可能性を整理します。大型設備がない会社でも、特定の工具や治具、テンプレート、作業台、ソフト設定が品質を支えていることがあります。こうした小さな資産を見落とすと、承継後に現場が回らなくなることがあります。

作業場や倉庫が賃貸の場合は、賃貸借契約も確認します。用途制限、騒音、搬入時間、原状回復、保証金、更新、代表者変更時の通知、事業譲渡時の承諾などが論点になります。個別の不動産契約判断は、貸主や専門家と確認しながら進める必要があります。

8. 従業員・パート・家族の暗黙知を形式知に変える

BtoBサービス型の中小企業では、長年働く従業員や家族が重要な暗黙知を持っていることがあります。どの顧客は納期に厳しいか、どの協力会社は急ぎに強いか、どの材料は代替できるか、どの時間帯なら搬入しやすいか、どの担当者には事前説明が必要か。こうした情報は売上台帳には表れませんが、承継後の品質を左右します。

M&A準備では、従業員ごとの役割、経験年数、担当顧客、担当工程、資格、勤務条件、残業状況、退職意向、家族の関与を整理します。雇用条件や労務に関する判断は、社会保険労務士や弁護士に確認しながら進めることが望ましいです。従業員への説明時期も、秘密保持と信頼維持の両方を踏まえて計画します。

家族経営では、配偶者が経理を担い、親族が現場補助をし、代表者の自宅に書類や工具が保管されていることもあります。会社の資産と個人の資産、会社業務と家族の支援を分けて整理することで、買い手への説明が明確になります。

9. 秘密保持とネームクリアは地域密着型M&Aほど重要になる

上野・台東区周辺の法人向けサービスでは、顧客、協力会社、同業者、地域団体、貸主が近い距離にいます。そのため、会社売却を検討している情報が不用意に広がると、従業員や顧客に不安を与えたり、協力会社が取引を控えたり、競合に情報が伝わったりするおそれがあります。秘密保持とネームクリアは、単なる形式ではなく事業価値を守る手続きです。

ネームクリアでは、買い手候補に社名を開示する前に、売り手企業様の承諾を得ます。候補先の業種、所在地、買収目的、競合性、既存取引との関係、情報漏えいリスクを確認し、開示可否を判断します。候補先が同業だから常に危険というわけではなく、同業だからこそ承継力が高い場合もあります。重要なのは、売り手が開示を管理することです。

上野M&A総合センターでは、売り手企業様の承諾なく第三者へ社名、財務情報、顧客名、従業員情報を開示しません。株式会社M&A Doが運営する相談窓口として、中小M&Aガイドラインの趣旨を踏まえ、秘密保持、利益相反の説明、手数料体系の明確化、意思決定の尊重を重視しています。

10. 株式譲渡と事業譲渡で承継の手間は大きく異なる

会社売却では、株式譲渡と事業譲渡のどちらを選ぶかで実務が変わります。株式譲渡は会社の株主が変わる手法であり、契約主体、従業員の雇用主、銀行口座、許認可、顧客契約が同じ会社に残るため、事業の連続性を保ちやすい面があります。一方で、会社に残る債務、過去の契約、税務・労務リスクも買い手が確認するため、デューデリジェンスが重要になります。

事業譲渡は、特定の事業資産や契約を選んで移す手法です。不要な資産や負債を切り分けやすい一方、顧客契約、協力会社契約、賃貸借契約、設備、工具、従業員、知的財産、電話番号、Webサイト、SNS、業務データを個別に承継する必要があります。法人向けサービスでは、契約と人的関係が多いため、事業譲渡の手続きが重くなることがあります。

どちらが適切かは、税務、法務、会計、買い手の意向、売り手の希望、会社の資産構成によって変わります。断定的に判断せず、専門家確認を取りながら、何を引き継ぎ、何を残し、何を守りたいのかを先に整理することが重要です。

11. 売り手企業様の手数料0円を活用して、早めに論点を洗い出す

会社売却を検討する経営者にとって、相談費用や成功報酬は大きな不安になりがちです。特に小規模なBtoBサービス会社では、まだ売却を決めていない段階で費用をかけることに抵抗があるのは自然です。譲渡企業様の当センターへの相談料・着手金・中間金・月額報酬・成功報酬は0円です。税金、登記・許認可、外部専門家等の第三者費用・実費は対象外です。初期相談、候補先探索、基本合意、成約時まで、売り手企業様の手数料は0円です。

この仕組みの目的は、費用を理由に検討が遅れ、結果として準備不足のまま後継者不在や代表者の体調問題に直面することを避けるためです。早めに相談すれば、すぐ売るかどうかを決める前に、資料整理、候補先の方向性、承継上の弱点、専門家確認が必要な論点を把握できます。

ただし、手数料0円であっても、法務・税務・会計・労務・不動産の個別助言をM&Aアドバイザーだけで断定することは適切ではありません。必要に応じて弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、社会保険労務士等に確認し、経営者が納得して判断できる体制を整えることが大切です。

12. 買い手候補は「価格」だけでなく承継力で選ぶ

BtoBサービス型企業のM&Aでは、提示価格だけで買い手を選ぶと、承継後に顧客や従業員との関係が崩れる可能性があります。買い手が同業で現場理解があるのか、営業基盤を持っているのか、管理体制を整えられるのか、既存従業員を尊重できるのか、協力会社との関係を維持できるのかを確認する必要があります。

たとえば、内装施工会社を買う買い手が、既に設計・不動産・店舗開発の顧客基盤を持っていれば、既存事業と相乗効果が見込めます。イベント支援会社を買う買い手が、広告代理店や制作会社との取引を持っていれば、案件拡大につながる可能性があります。蔵前周辺の工房型事業を買う買い手が、ECやブランド運営に強ければ、小ロット生産や検品機能を活かせるかもしれません。

一方で、買い手が現場を理解しないまま価格だけを提示する場合、従業員や協力会社が離れ、顧客対応が乱れるリスクがあります。売り手企業様は、価格、雇用、屋号、顧客対応、代表者の引継ぎ期間、個人保証、支払い条件を総合的に見て判断することが重要です。

13. 公開前に整えるべき資料と、開示の順番

M&Aでは、最初からすべての資料を候補先に渡す必要はありません。むしろ、秘密保持を守るためには段階的な開示が必要です。初期段階では匿名概要として、業種、エリア、売上規模、利益水準、顧客構成、強み、代表者の希望を整理します。社名、具体的な顧客名、協力会社名、図面、詳細な契約書は伏せます。

候補先が関心を示し、秘密保持契約を締結し、売り手企業様がネームクリアを承諾した後に、より具体的な資料を開示します。決算書、試算表、案件別売上、主要顧客構成、外注費、賃貸借契約、従業員情報、設備一覧、協力会社一覧などです。さらに基本合意後に、契約書、詳細な案件資料、顧客説明方針、協力会社説明方針を詰めていきます。

この順番を設計しておくと、情報漏えいを防ぎながら買い手に必要な判断材料を提供できます。上野・台東区のように商流が近い地域では、匿名概要の段階でも特定される情報が含まれないよう注意が必要です。

14. 最初の30日で行うべき実務整理

会社売却を本格的に決めていなくても、最初の30日でできる準備は多くあります。まず、直近三期の決算書、直近月の試算表、月別売上、主要案件一覧を確認します。次に、案件発生経路、顧客属性、協力会社、外注費、粗利、代表者依存業務を整理します。さらに、設備・工具・車両・作業場・賃貸借・リース・借入・個人保証・親族関与を確認します。

そのうえで、売却で守りたい条件を明確にします。従業員の雇用、顧客への説明、協力会社との関係、屋号の継続、代表者の引継ぎ期間、価格、支払方法、個人保証の解除、家族の関与終了時期などです。価格だけでなく、どのような相手に引き継ぎたいかを考えることで、候補先の選び方が変わります。

この段階では、社外に情報を広げる必要はありません。相談先と秘密保持を確認し、匿名概要、ネームクリア、秘密保持契約、詳細開示、基本合意、最終契約の流れを理解することが第一歩です。

15. まとめ:地域の現場力を次の担い手へ残すために

上野・御徒町・湯島・上野広小路・浅草橋・蔵前周辺のBtoBサービス型企業は、表からは見えにくい仕事で地域の商流を支えています。内装施工、イベント支援、工房型サービス、法人向け業務は、代表者の経験、協力会社との関係、顧客の再発注、地域の現場対応力によって成り立っています。会社売却や事業承継では、この見えにくい価値を資料と引継ぎ手順に落とし込むことが重要です。

買い手に伝えるべきことは、単に「売上がある」という事実ではありません。案件がどこから来るのか、誰が見積りを作るのか、どの協力会社が支えているのか、顧客契約はどうなっているのか、従業員は何を知っているのか、代表者が退任しても品質を守れるのかという実務です。これらを早めに整理すれば、候補先との対話は具体的になります。

上野M&A総合センターは、株式会社M&A Doが運営する相談窓口として、譲渡企業様の手数料0円、秘密保持、ネームクリア、中小M&Aガイドライン遵守を重視しています。個別の法務・税務・会計判断は専門家に確認しながら、まずは自社の案件、顧客、協力会社、現場ノウハウを棚卸しすることから始めてください。

16. 運転資金と入金サイトを買い手に説明できるようにする

BtoBサービス型企業では、受注から入金までの時間差が資金繰りに大きく影響します。内装施工やイベント支援では、材料費や外注費を先に支払い、顧客からの入金は納品後または検収後になることがあります。浅草橋で資材を調達し、蔵前の工房で加工し、上野周辺の店舗に納品するような案件では、短期間でも立替が積み重なります。買い手は、承継後に必要な運転資金を見誤ると、せっかく引き継いだ顧客対応を維持できません。

準備段階では、月別売上、月別外注費、材料費、買掛金支払日、売掛金回収日、カード・電子決済の入金日、前受金の有無、保証金や立替金の発生状況を整理します。法人取引では請求締めが月末で入金が翌月末または翌々月になることもあります。代表者が個人資金で一時的に立て替えている場合は、会社としての実態が見えにくくなるため、早めに整理しておく必要があります。

金融機関借入や代表者個人保証がある場合、M&A後の扱いも重要です。株式譲渡では借入が会社に残ることが多く、買い手は返済条件や保証解除の可能性を確認します。事業譲渡では、売却代金で借入を返済する設計が検討されることもあります。個別の金融機関対応や税務処理は、税理士、弁護士、金融機関担当者と確認しながら進めるべきです。

17. PMIは成約後ではなく、候補先選定の段階から考える

PMIとは、M&A成立後の経営統合や引継ぎのことです。BtoBサービス型企業では、成約後に急に統合を始めるのでは遅い場合があります。顧客への説明、協力会社への説明、従業員の役割、見積り書式、請求フロー、案件管理ツール、現場ルール、品質基準、クレーム対応方針を、候補先選定の段階から意識することが大切です。

たとえば、買い手が大きな会社であれば、稟議、発注、請求、労務管理のルールが厳格になることがあります。その結果、これまで柔軟に対応していた顧客へのスピードが落ちる可能性があります。一方で、管理体制が整うことで、属人的だった業務が安定し、従業員の負担が減る可能性もあります。どちらが良い悪いではなく、既存顧客や従業員に与える影響を事前に検討することが重要です。

代表者の引継ぎ期間もPMIの重要論点です。三カ月で十分な会社もあれば、一年程度かけて顧客や協力会社を引き継ぐべき会社もあります。上野・御徒町・浅草橋・蔵前のように紹介と信頼で成り立つ地域では、代表者が一定期間同席し、買い手を紹介し、顧客の不安を和らげることが価値を守る場合があります。引継ぎ期間中の報酬、役割、権限、責任範囲は契約で明確にする必要があります。

18. 地域別に見る承継時の注意点

同じ台東区周辺でも、上野、御徒町、湯島、上野広小路、浅草橋、蔵前では商流と人流が異なります。上野駅周辺では飲食店、観光、ホテル、医療、教育、事務所需要が混在し、急な修繕や短納期対応が評価されます。御徒町では宝飾、時計、雑貨、専門店、卸小売に関わる細かな加工や什器、検品、配送が発生しやすい傾向があります。湯島・上野広小路では、オフィス、飲食、専門サービス、士業とのつながりが案件化することもあります。

浅草橋は、問屋、資材、文具、人形、手芸、制作会社、イベント関連の商流が濃い地域です。小ロットでも即応できること、資材の代替案を出せること、展示会や販促に合わせて納期を守れることが強みになります。蔵前は、ものづくり、デザイン、カフェ、ブランド、EC、工房の空気が強く、見た目の品質やブランド世界観を理解した対応が求められます。

買い手候補に地域特性を説明するときは、単に地名を並べるのではなく、どの地域でどのような案件が発生し、どの顧客層に支持され、どの協力会社と連携しているのかを示すことが大切です。地域を理解している買い手であれば、既存事業との相乗効果を見つけやすくなります。地域外の買い手であれば、台東区周辺に参入する入口として評価する可能性があります。

19. 相談前チェックリスト

相談前にすべてを完璧に揃える必要はありませんが、次の項目を大まかに確認しておくと初回相談が具体的になります。直近三期の決算書、直近月の試算表、月別売上、主要案件一覧、顧客別売上、外注費、協力会社一覧、従業員一覧、設備・工具一覧、賃貸借契約、借入金、リース、個人保証、保険、許認可、WebサイトやSNS、過去案件の写真・図面・仕様書です。

加えて、経営者ご自身の希望も整理しておきたい項目です。いつまでに承継したいのか、売却後も関与したいのか、完全に退きたいのか、従業員の雇用をどこまで重視するのか、屋号や顧客対応を残したいのか、価格よりも相手先の方針を重視するのか。希望が曖昧なまま候補先探索を始めると、価格だけに目が向き、後で判断に迷うことがあります。

上野M&A総合センターへの相談では、社名を出さない匿名段階でも概要整理が可能です。初期相談で無理に売却を決める必要はありません。秘密保持を前提に、会社の強み、承継上の不安、候補先の方向性、専門家確認が必要な論点を整理し、経営者が次の判断をしやすい状態を作ることが目的です。

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